
赤ちゃんにブツブツができて、 かゆそうな姿を見ているのはツラいですよね。
少しでも早く治してあげたい、 楽にしてあげたいと思うのが親です。
ただ、その原因がわからないと、 「もしかしたらアトピーの病気なんじゃないか」 「あせもにしては治りが悪くて心配」 「かきむしってしまうけど、どうしたらいいんだろう」 そんな心配があると思います。
アトピーとあせもは原因が違います。
赤ちゃんの症状を早く治すためにはこの違いを見分け、 それぞれにあった治療や対処法が必要です。
そこで、違いを見分ける方法を、 ひと目でわかるようにまとめました。
さらに、それぞれの改善方法もご紹介します。
今回の記事を参考に、 少しでも早く赤ちゃんを楽にしてあげましょう。
- 目次
1.アトピーとあせもの違いとは
1-1.アトピーはアレルギーが原因
1-2.あせもは汗の詰まりが原因
1-2-1.数ミリの水ぶくれ、かゆくないあせも
1-2-2.赤いブツブツ、かゆみのあるあせも
1-2-3.平たい青白いブツブツ、かゆくないあせも
2.赤ちゃんのアトピーとあせもの見分け方
3.アトピーは皮膚科で専門医の受診を!
4.油断は禁物!あせもの改善方法と対策
4-1.シャワーで皮膚を清潔にする
4-2.通気性の良い素材の服を選ぶ
4-3.こまめに汗を拭く
4-4.エアコンで温度と湿度の調節
4-5.傷にならないように爪を切る
5.まとめ
1.アトピーとあせもの違いとは
アトピーとあせもは、 どちらも赤ちゃんに良く見られる病気です。
症状も似ていて、皮膚のブツブツやかゆみが見られます。
かゆいのはどうしても我慢できず、 つい赤ちゃんもかきむしってしまいます。
そんなかわいそうな様子を見ていると、 少しでも早く良くしてあげたいと思いますよね。
そのために大切なことは、まずアトピーとあせもの違いを見分けることです。
その違いは大きく分けると、アトピーはアレルギーが原因で、 あせもは汗が原因となります。
この違いがわかると、その後の治療や対処が正しくできるので、 赤ちゃんも早く楽になります。
1-1.アトピーはアレルギーが原因
アトピーとはアトピー性皮膚炎のことを言います。
慢性的に繰り返される皮膚のブツブツや、 炎症によりひどいかゆみがみられます。
アトピーは誰にでも起こるわけではなく、 アレルギー体質のある子に起こります。
つまり、アレルギーが原因となる皮膚の病気です。
乾燥する冬や春先に症状が見られ、 赤ちゃんの時に発症することが多いという特徴があります。
症状は下の表のように、年齢による特徴があります。
乳幼児(1〜6歳) | 小児(6〜15歳) | 思春期・成人期(15歳〜) | |
部位 | 頭、顔から背中や胸、お腹に広がる | 首、肘や膝のくぼみ
|
顔、首、胸、背中 |
皮膚の特徴 | 赤く腫れて、水ぶくれのようなブツブツができる | 皮膚が分厚く硬くなる | 顔が広範囲に赤くなる
首の周囲に色素沈着が見られる |
1-2.あせもは汗の詰まりが原因
あせもは漢字で汗疹と書きます。
このあせもはアトピーと同じように、皮膚のブツブツやかゆみがあります。
しかし、アトピーとの違いは、誰にでもみられる汗が原因になることです。
皮膚の下には汗を作る汗腺(かんせん)があります。
この汗腺はホースのようになっていて、 その中を汗が通り皮膚から外に出されます。
この汗腺の中で汗が詰まってしまうとあせもになります。
水を撒くホースが詰まると、そこに水が溜まってホースが膨らみます。
同じように、汗腺が詰まると汗が溜まり、 膨らんでボツボツができるのです。
汗腺が詰まる原因は、汗を拭かずにそのままにしていたり、肌を清潔にしていないことです。
あせもは症状の悪化具合によって3つに分かれます。
1-2-1.数ミリの水ぶくれ、かゆくないあせも
皮膚表面の角質で汗が詰まると、小さな水ぶくれのブツブツができます。
この段階では赤みもかゆみも見られません。
すぐに白くなって皮膚が剥がれ落ち、数日で症状は改善します。
小さな赤ちゃんの顔によく見られますが、大人でも風邪を引いた時などに見られる症状です。
専門的には水晶様汗疹といいます。
1-2-2.赤いブツブツ、かゆみのあるあせも
水晶様汗疹よりも症状が悪化して、皮膚の角質よりも深い所で汗が詰まると、1〜2mm程度の赤みのあるブツブツとかゆみが起こります。
よく見られる部位は背中や胸やお腹、肘や膝のくぼみ、お尻や足の付け根、首や脇に見られます。
高温多湿の環境や肥満、多汗症、乳児に多く、これを紅色(こうしょく)汗疹と言います。
1-2-3.平たい青白いブツブツ、かゆくないあせも
紅色汗疹を繰り返していると、汗腺の根元付近で汗が詰まるようになります。
この状態になると、汗をかいた時にかゆみのない、平たく青白いブツブツが多発します。
これを深在性汗疹と言います。
このように一言であせもと言っても、症状の悪化によって特徴が変わります。
まとめると次のようになります。
水晶様汗疹 | 紅色汗疹 | 深在性汗疹 | |
汗の詰まる場所 | 皮膚表面(角質) | 角質よりも深く | 汗腺の根元 |
部位 | 顔に多い | 背中や胸やお腹
肘や膝のくぼみ 首や脇 |
紅色汗疹をくり返した部位 |
ブツブツ | 数ミリの小さな水ぶくれ | 1〜2ミリ程度 | ひらたい |
色 | 乾いて白くなる | 赤い | 青白い |
かゆみ | ない | あり | ない |
好発する人 | 赤ちゃん
大人でも風邪を引いいた時など |
高温多湿の環境
肥満、多汗症、あかちゃん |
紅色汗疹を繰り返すと起こる |
2.赤ちゃんのアトピーとあせもの見分け方
赤ちゃんに何かあると、たとえどんな小さなことでも不安になり、少しでも早く治してあげたいと思いますよね。
赤ちゃんもブツブツやかゆみも同じです。
しかし、なんとかしてあげたくても、その原因がわからなければ、どうしたらいいのかもわかりません。
特に、アトピーとあせもは症状はよく似ていますが、その原因や治療方法が異なります。
そこで、この2つをひと目で見分けるために、下の表が参考になります。
アトピーとあせもの特徴と、赤ちゃんの症状を見比べて見ましょう。
アトピー | あせも | |
かゆみ | ひどいかゆみがある | 症状が悪化するとかゆみが強くなる |
皮膚の状態 | ブツブツができ、周りの皮膚も赤く腫れる | 白や赤いブツブツができる |
部位 | 左右対称に見られる
頭や顔から始まり首や体に広がる |
汗のかきやすい場所や蒸れる場所
(腰、お尻、股、背中、首回り) |
経過 | 良くなったり悪くなったりを繰り返す | 一過性 |
季節 | 乾燥する冬や春先 | 高温多湿の夏 |
3.アトピーは皮膚科で専門医の受診を!
もしアトピーかもしれないと思った場合には、専門医の診察を受けるのが安心です。
あせもの場合は、症状が軽いと自然と治ることもよくあります。
しかし、アトピーの場合は、良くなったり悪くなったりを繰り返す特徴があります。
まずは正しく診断をしてもらうことが、赤ちゃんを早く楽にしてあげるための第1歩です。
かかりつけの小児科などがあれば、一度受診してみましょう。
もしすでに受診しているけど、症状もよくならないし不安だと言う方は、アレルギー専門医のいる皮膚科の受診がおすすめです。
専門医を見つける方法は、日本アレルギー学会のホームページが便利です。
ホームページから、お住いの都道府県と診療科(皮膚科)を選択すると、 専門医のいる皮膚科の一覧を見ることができます。
また、ママ友や知り合いに、 おすすめの皮膚科がないか聞いてみることもおすすめです。
実際の診察の様子や雰囲気もわかるので、初めての受診でも安心できます。
4.油断は禁物!あせもの改善方法と対策
あせもなら心配ないと油断は禁物です。
かきむしった傷から細菌が入り込むと、とびひとなって全身に広がってしまうことがあります。
また、症状がひどくなると炎症が起きて、ひどいかゆみや皮膚が赤く腫れることがあります。
こうなると小児科や皮膚科を受診し、炎症を抑える塗り薬などが必要になります。
そうなる前に、今すぐできる方法を試して、 少しでも早く改善してあげましょう。
具体的には、赤ちゃんの皮膚を清潔に保つスキンケアが大切です。
自宅ですぐにできるスキンケア方法をご紹介します。
4-1.シャワーで皮膚を清潔にする
あせもは汗がたまったり、 肌が汚れることが原因となるので、シャワーで洗い流して肌を清潔に保ちましょう。
具体的には次のことに気をつけます。
・しっかりと泡立てる
ゴシゴシ洗うと刺激が強く傷になります。
皮膚を傷つけると、とびひの原因にもなります。
石鹸をしっかりあわ立てて、優しく洗ってあげましょう。
ハンドソープと同じように、ボトルから直接泡状になって出てくるタイプもあります。
・シワを広げて洗う
赤ちゃんの皮膚はシワが深く、汗が溜まりやすくなります。
特に、首や手足の関節、お尻や足の付け根、背中に汗が貯まりやすいので皮膚を広げて洗い流しましょう。
・拭き残しにも注意
あせもは高温多湿が原因となります。
お風呂上がりの拭き残しもあせもの原因となったり、治りを悪くします。
体を洗う場合と同じで、シワを広げてしっかり拭き取ってあげましょう。
また、拭き取る時も皮膚を傷つけないように、優しく拭いてあげましょう。
・湯温に注意する
シャワーも湯船の温度も38度前後のぬるめの設定にしましょう。
熱いと肌に刺激となってしまいますし、かゆみを強くします。
4-2.通気性の良い素材の服を選ぶ
赤ちゃんはもともと汗をかきやすく、首や関節のシワも深いため汗が溜まりやくなります。
そんな赤ちゃんの服選びは大切です。
・通気性や吸水性のいいものを選ぶ
汗をかきやすくなったり蒸れないようにするために、 通気性や吸水性の良い綿やガーゼ素材の服を選びましょう。
夏は肌着の上にもう1枚着せなくても、肌着1枚や半袖のカバーオールだけで大丈夫です。
赤ちゃんは体温調節が苦手なので、汗の具合を見て服を調節しましょう。
汗で服が濡れている場合は着替えましょう。
赤ちゃんも気持ちよく過ごせます。
・オムツのサイズにも注意
小さなサイズのオムツを使っていると、オムツで締め付けられたり蒸れてしまいあせもの原因となります。
紙オムツを利用している場合は、パッケージにサイズの目安が書かれているので参考にしましょう。
テープタイプのオムツの場合には、テープにサイズのメモリが付いているものもあります。
テープが回らなくなってきたらサイズアップの目安です。
パンツタイプのオムツの場合は、ウエストや太ももが締め付けられて、赤くなっていたらサイズアップの目安です。
ウエストに指が2本入り、おへそが隠れるサイズが体にあったオムツです。
また、おしっこやウンチが吸収しきれず漏れてしまう場合も、サイズアップをしてみましょう。
オムツの中が湿った状態では蒸れてしまうので、あせもの原因になります。
4-3.こまめに汗を拭く
赤ちゃんが汗をかいていたら、タオルやハンカチで拭いてあげましょう。
特に汗の溜まりやすい首や手足の関節、背中やお尻、足の付け根部分はよく確認しましょう。
タオルやハンカチもこまめに取り替えて、清潔なものを使うようにしてください。
外出後やよく汗をかいた後は、シャワーを浴びて汗を流すのもおすすめです。
4-4.エアコンで温度と湿度の調節
高温多湿の環境はあせもの原因になります。
そこで、夏場は上手にエアコンを使いましょう。
・湿度は40〜60%
赤ちゃんは寝ていることや抱っこが多いので、湿度が高いと背中や首回りが蒸れてしまいます。
除湿機能を使って湿度を調節しましょう。
湿度の目安は40〜60%です。
・室温は26〜28度
また、赤ちゃんは体温調節が苦手なため、体温が気温や室温に左右されてしまいます。
赤ちゃんが汗ばんでいないか確認して、部屋の温度も調節しましょう。
室温は26〜28度が目安です。
また、赤ちゃんが日中過ごすベッドや布団は、日光が当たらない場所や風通りの良い場所を選ぶことも大切です。
4-5.傷にならないように爪を切る
あせもがひどくなると、どうしても赤ちゃんもかいてしまいます。
ひどくかきむしると、皮膚に傷がついてしまいます。
そこから細菌が入るととびひになります。
しかし、赤ちゃんにかいたらダメだと言ってもわかりません。
かゆいのはよくわかる、でもかいたら悪くなるからなんとかしたい。
そんな時にできる簡単な方法があります。
それは、爪を短く切ることです。
赤ちゃんの爪は柔らかいですが、それでも皮膚に傷ができます。
さらに赤ちゃんの爪の伸びるスピードは早いので、こまめにチェックすることが大切です。
・赤ちゃんにあった爪切りを選ぶ
爪切りにはハサミタイプと、大人と同じようなパチンパチンと切るタイプがあります。
どちらも赤ちゃん用の物があります。
生後わずかで爪も薄く柔らかい場合は、ハサミタイプがおすすめです。
少し爪が硬くなってきたら、大人と同じタイプの爪切りにすることもできます。
・爪を切るタイミング
爪を切るタイミングは、 赤ちゃんが寝ている時がおすすめです。
目が覚めている時だと赤ちゃんが動いてしまい、上手にきれなかったり、皮膚を傷つけてしまいます。
赤ちゃんの爪をチェックして、伸びていたらこまめに切ってあげましょう。
5.まとめ
赤ちゃんのブツブツやかゆみが、アトピーなのかあせもなのかを見分けることが、少しでも早く楽にしてあげるためには大切です。
アトピーの場合は次のような特徴があります。
・ひどいかゆみ
・ブツブツと赤く腫れ上がった皮膚症状
・左右対称に見られる
・顔や頭から症状が広がる
・乾燥する冬や春先に多い。
・良くなったり悪くなったりを繰り返す
あせもの場合は次のような特徴があります。
・初期にはかゆみがなく、悪化すると痒くなる
・はじめは白いブツブツ、悪化すると赤いブツブツ
・シワの多い首や手足の関節、背中やお尻に多い
・汗をかく夏に多い
・症状は一過性で、軽い場合は自然に改善する
アトピーとあせもは同じような症状なので、いったいどちらなのか迷ってしまいます。
しかし、詳しく見るとこのような違いがあるので、まずは赤ちゃんの体を良く観察しましょう。
アトピーかなと思った場合は、今回ご紹介したように専門家の受診がおすすめです。
あせもの場合は、症状がひどくなる前にスキンケアを始めましょう。
今回の記事を参考に、赤ちゃんの症状が少しでも早く改善できれば幸いです。
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