自分でまるわかり!慢性疲労症候群の診断症状とは?

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「いくら休んでも疲労が取れない」「ただの疲れではない気がするけど、いったい何の病気なのか分からない」と悩んだことはありませんか?

「ただの疲れだろう」と済ませている人も多いのではないかと思います。

よく勘違いされやすいのが、「慢性疲労」と「慢性疲労症候群」を 一緒にしてしまうことです。

慢性疲労症候群は、慢性疲労と名称が似ていますが、異なるものです。

慢性疲労は、休息不足からきているので、休息すれば改善されますが 、慢性疲労症候群は休息だけでは改善しません。

休息以外に適切な治療が必要になってきます。

でも、慢性疲労症候群は、症状が他の病気と似ていることもあるため、いったい何の病気か分からないと戸惑うことも多いと思います。

そこで慢性疲労症候群には、特定の診断基準というものがあります。

これらの診断基準を満たしていないと、慢性疲労症候群とは診断されません。

そこで、ここでは、慢性疲労症候群の見分け方(診断基準)や治療法について、詳しく紹介をしていきたいと思います。

 

1.慢性疲労症候群の症状とは?

慢性疲労症候群(Chronic Fatigue Syndrome:CFS/筋痛性脳脊髄炎)は、日常生活ができないほどの強い疲労が、6か月以上の長期にわたって続く病気です。

主な症状に、強い全身倦怠感、発熱、頭痛、リンパ節が腫れる、咽頭痛などの風邪に似た症状が続きます。

他には、筋肉痛、関節痛、脱力感などの膠原病様症状、睡眠障害、思考力低下、抑うつ、不安などの精神・神経症様症状などが確認されています。

 

慢性疲労症候群の原因は?

実は、慢性疲労症候群の原因は、まだ明らかになっていません。

しかし、厚生労働省などの近年の研究により、少しずつですがストレス、免疫や遺伝子などの要因が、関係していることが分かってきました。

何らかのストレスによって自律神経系、ホルモン系の働きに異常が生じると免疫力が低下します。

すると、体内に潜伏していたウイルスが再活性化します。

これを制御するために、免疫物質(インターフェロン(IFN)などのサイトカイン)が作られます。

この過剰に作られた免疫物質が、脳・ 神経系の機能に影響を及ぼして、さまざまな障害を生じているという説が有力です。

 

 

 

2.慢性疲労症候群はどのように診断されるの?

慢性疲労症候群は、確定的な診断に結びつくような、検査異常(バイオマーカー)は分かっていません。

なので特定の検査で診断できるわけではなく、臨床症状を中心とした診断法が用いられています。

診断基準には現場の医師が用いる診断基準と研究者が用いるための診断基準があります。

現場の医師が用いる診断基準には、日本ME/CFS臨床診断基準(2016)、SEID診断基準(2015)などの簡単で利用しやすいものが使われています。

一方で研究者が用いる診断基準は、病因・病態の解明を明確にする必要があるため、統一性や厳格性が求められています。

ですので、この両者の診断基準は、目的の違いから区別して用いることが良いかと思います。

ここでは実際の医療現場で使われることが多い、ME/CFS臨床診断基準とSEID診断基準(2015)を、紹介したいと思います。

 

2-1.ME/CFS臨床診断基準

日本では、2016年10月に日本医療研究開発機構(AMED)研究班(旧厚生労働省 研究班)から診断基準が示されています。

この診断基準のポイントは、以下の4つです

・ME/CFS診断に必要な最低限の検査を明記
・鑑別すべき主な疾患・病態を記載
・共存を認める疾患・病態を記載
・PS(performance status)によるQOL評価を採用 (医師が判断、判断の具体例も記載)

日本医療研究開発機構(AMED)より引用

筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群(ME/CFS)臨床診断基準(案) (2016年3月改訂)

.6ヵ月以上持続ないし再発を繰り返す以下の所見を認める  (医師が判断し、診断に用いた評価期間の50%以上で認めること)

  1. 強い倦怠感を伴う日常活動能力の低下* 2. 活動後の強い疲労・倦怠感** 3. 睡眠障害、熟睡感のない睡眠 4. 下記の(ア)または(イ)  (ア)認知機能の障害  (イ)起立性調節障害

Ⅱ.別表1-1に記載されている最低限の検査を実施し、別表1-2に記載された疾病を鑑別する  (別表1-3に記載された疾病・病態は共存として認める)

*:病前の職業、学業、社会生活、個人的活動と比較して判断する。体質的(例:小さいころから虚弱であった)というものではなく、明らかに新らたに発生した状態である。過労によるものではなく、休息によっても改善しない. 別表2に記載された「PS(performance status)による疲労・倦怠の程度」を医師が判断し、PS 3以上の状態であること。 **:活動とは、身体活動のみならず精神的、知的、体位変換などの様々なストレスを含む。

 

別表1-1. ME/CFS診断に必要な最低限の臨床検査
(1) 尿検査(試験紙法)  (2) 便潜血反応(ヒトヘモグロビン)  (3) 血液一般検査(WBC、Hb、Ht、RBC、血小板、末梢血液像)  (4) CRP、赤沈  (5) 血液生化学(TP、蛋白分画、TC、TG、AST、ALT、LD、γ-GT、BUN、Cr、尿酸、 血清電解質、血糖) (6) 甲状腺検査(TSH)、リウマトイド因子、抗核抗体  (7) 心電図  (8) 胸部単純X線撮影

 

別表1-2. 鑑別すべき主な疾患・病態
(1) 臓器不全:(例;肺気腫、肝硬変、心不全、慢性腎不全など)  (2) 慢性感染症:(例;AIDS、B型肝炎、C型肝炎など)  (3) 膠原病・リウマチ性、および慢性炎症性疾患: (例;SLE、RA、Sjögren症候群、炎症性腸疾患、慢性膵炎など)  (4) 神経系疾患: (例;多発性硬化症、神経筋疾患、てんかん、あるいは疲労感を惹き起こすような薬剤を持続的に服用する疾患、後遺症をもつ 頭部外傷など)  (5) 系統的治療を必要とする疾患:(例;臓器・骨髄移植、がん化学療法、 脳・胸部・腹部・骨盤への放射線治療など)  (6) 内分泌・代謝疾患:(例;糖尿病、甲状腺疾患、下垂体機能低下症、副腎不全、など)  (7) 原発性睡眠障害:(例;睡眠時無呼吸症候群、ナルコレプシーなど)  (8) 精神疾患:(例;双極性障害、統合失調症、精神病性うつ病、薬物乱用・依存症など)

 

別表1-3. 共存を認める疾患・病態
(1) 機能性身体症候群(Functional Somatic Syndrome: FSS)に含まれる病態線維筋痛症、過敏性腸症候群、顎関節症、化学物質過敏症、間質性膀胱炎、機能性胃腸症、月経前症候群、片頭痛など

(2) 身体表現性障害 (DSP-IV)、身体症状症および関連症群(DSM-5)、気分障害(双極性障害、精神病性うつ病を除く)

(3)その他の疾患・病態    起立性調節障害 (OD):POTS(体位性頻脈症候;postural tachycardia syndrome)を含む若年者の不登校

(4)合併疾患・病態 脳脊髄液減少症、下肢静止不能症候群(RLS)

 

別表2. PS(performance status)による疲労・倦怠の程度(PSは医師が判断する)

0:倦怠感がなく平常の社会生活ができ、制限を受けることなく行動できる  1:通常の社会生活ができ、労働も可能であるが、疲労を感ずるときがしばしばある  2:通常の社会生活ができ、労働も可能であるが、全身倦怠感のため、しばしば休息が必要である  3:全身倦怠感のため、月に数日は社会生活や労働ができず、自宅にて休息が必要である*1  4:全身倦怠感のため、週に数日は社会生活や労働ができず、自宅にて休息が必要である*2  5:通常の社会生活や労働は困難である。軽労働は可能であるが、週のうち数日は自宅にて休息が必要である*3 6:調子の良い日には軽労働は可能であるが、週のうち50%以上は自宅にて休息している  7:身の回りのことはでき、介助も不要であるが、通常の社会生活や軽労働は不可能である*4  8:身の回りのある程度のことはできるが、しばしば介助がいり、日中の50%以上は就床している*5  9:身の回りのこともできず、常に介助がいり、終日就床を必要としている

疲労・倦怠感の具体例(PSの説明)  *1 社会生活や労働ができない「月に数日」には、土日や祭日などの休日は含まない。また、労働時間の短縮など明らかな勤務制限が必要な状態を含む。  *2 健康であれば週5日の勤務を希望しているのに対して、それ以下の日数しかフルタイムの勤務ができない状態。半日勤務などの場合は、週5日の勤務でも該当する。  *3 フルタイムの勤務は全くできない状態。 ここに書かれている「軽労働」とは、数時間程度の事務作業などの身体的負担の軽い労働を意味しており、身の回りの作業ではない。  *4 1日中、ほとんど自宅にて生活をしている状態。収益につながるような短時間のアルバイトなどは全くできない。ここでの介助とは、入浴、食事摂取、調理、排泄、移動、衣服の着脱などの基本的な生活に対するものをいう。  *5 外出は困難で、自宅にて生活をしている状態。日中の50%以上は就床していることが重要。

日本医療研究開発機構(AMED)より引用
http://www.fuksi-kagk-u.ac.jp/guide/efforts/research/kuratsune/

 

 

 

 

2-2.SEID診断基準(2015)

2015年2月に、米国医学研究所(Institute of Medicine:IOM)から提案された診断基準です。

この発表の際に慢性疲労症候群の病気の名前を新たな疾病概念として、全身性労作不耐症(systemic exertion intolerance disease:SEID)に、変更することを提案しています。

しかし、医師が医療現場で用いやすく使用される一方で、診断基準としての特異度が低く、また除外基準が記載されていないため、多くの精神疾患がSEID基準に含まれてしまうなど、いくつかの問題点も指摘されている。

 

IOM提唱の診断基準(2015)

次の3つの症状を満たす事
1 発症前の職業や学業、社会的、個人的な活動レベルと比べて、著しく機能低下したり機能障害があり、それが6カ月以上続き、疲労感を伴っている。その程度はしばしば深刻で、新しく表れた、あるいは明らかに発症という状態であり、今過度の労作を行ったからではなく、また休息しても症状がおさまらない。
2 労作後倦怠感*
3 睡眠をとっても回復しない
さらに次の2つの症状のうち、少なくとも1つを満たす事
4 認知機能の障害
5 起立不耐性
*症状の頻度や酷さを評価する。筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群(全身労作不耐症)では、これらの症状が、少なくとも半分以上の時間に中等度、高度、重度の酷さであることを確認する。

 

(補足)さらなる症状

ME/CFSに関して確認されている他の徴候
1 痛み(頭痛、関節痛、筋肉痛を含む)
2 免疫機能障害
3 感染
頻度はそれほどではないが、この病気の診断を支持する症状
1 胃腸機能障害
2 泌尿器機能障害
3 喉の痛み
4 リンパの腫れ
5 刺激に過敏(例:食べ物、薬品、化学物質)

ME/CFS infoより引用(http://mecfsinfo.net/diagnosis/iom-2015

 

 

3.慢性疲労症候群の治療法は?

確実に有効な治療法は確立していませんが、各症状に合わせて治療法があります。

・薬物療法
抗酸化療法(ビタミンC、CoQ10など)、免疫賦活療法(漢方薬など)、
向精神薬(SSRI、抗うつ薬、抗不安薬など)。
補中益気湯は、慢性疲労症候群で低下しがちな体力や、疲労の治療に使われます。
ビタミンCは微熱の改善や免疫力やストレス抵抗力を高めます。
SSRI(セロトニン再とり込み阻害薬)は、うつ病や不安症に効果があります。

・精神療法(認知行動療法)
医師と患者のカウンセリングにより、日々の活動、ストレス、
症状を管理し改善していく方法です。
また、ものの受け取り方や考え方を変えていくことで、
感情や行動の負のサイクルを断ち切り気持ち楽にしていきます。

・段階的運動療法
理学療法士の指導のもと、運動を通じて、
患者が以前の日常生活を取り戻せることを目的としています。
慢性疲労症候群の回復方法として、大きな効果を上げている方法です。

 

 

 

4.まとめ

慢性疲労症候群は、まだまだ認知度が低いため、小さな病院では誤診されることがあります。

また慢性疲労の症状が出る疾患は、慢性疲労症候群以外にも多く、患者本人の勘違いも多くなっています。

そのため、できれば最初は、総合病院など大きな病院での診察してもらうか、専門の医療機関などにかかるようにしましょう。

慢性疲労症候群の発症のメカニズムは、まだ完全に解明されていませんが、治療ができないということではありません。

治らないとなると落ち込みますが、各症状に合わせて様々な治療法がありますので、完治を目指すのではなく、緩和するという方向性で治療を行いましょう。

 

 

 


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