ただの風邪で血糖値が急増?!糖尿病に潜む3つの危険とは

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糖尿病の治療は食事、 運動、薬だけだと思っていませんか?

実はこれらの治療で血糖値が安定していても、 意外な理由で血糖値が急増してしまうことがあります。

いつも通りの生活をしているのに、 「あれ?血糖値が高い?!」と驚いて、 不安に感じたことがあるかもしれません。

実はその原因は『風邪』なのです。

ただの風邪が突然血糖値を乱してしまうのです。

そしてこのちょっとした体調不良がきっかけで、 ある危険な3つの症状を引き起こしてしまうことがあります。

これを防ぐために国や医師からも 注意を呼びかけています。

ただの風邪が引き起こす命に関わる 危険を防ぐための方法を「シックデイ・ルール」といいます。

今回はこのシックデイ・ルールについて詳しくお伝えします。

さらに、糖尿病の危険から身を守るための食材11選もご紹介します。

思わぬことから糖尿病を悪化させないためにも ぜひ参考にしてください。

 

1.突然、血糖値が急増?!

糖尿病は血糖値が高くなることが原因で起こる病気です。

糖尿病の治療には、
・食事療法
・運動療法
・薬物療法、の3つがあります。

これらは血糖値を下げることが目的です。

糖尿病治療の専門医の羽田勝計医師によると、 「糖尿病は血糖コントロールさえきちんとできていれば、健康な人となんら変わりない生活ができる病気」 だと言います。(NHKここが聞きたい!名医にQ 糖尿病のベストアンサーより)

つまり、糖尿病の治療で大切なことは血糖値を下げ、 目標値(空腹時血糖値130mg/dL未満、食後2時間血糖値180mg/dL)に
コントロールすることです。

あなたも食事、運動、薬の治療を行いながら、 血糖値をコントロールしていると思います。

しかし、ある日突然、 それまでうまくコントロールできていたはずの 血糖値が急増してしまうことがあります。

そして命に関わる危険な症状を引き起こすことがあります。

では、いったいなぜ突然血糖値が上がり、 コントロールできなくなるのでしょうか?

そしてどうすればこの危険から、 身を守ることができるのでしょうか?

2.6割が経験している「シックデイ」とは

なぜ安定していた血糖値が突然上がり、 コントロールできなくなってしまうのでしょうか?

その原因は意外にも『風邪』にありました。

あなたは「シックデイ」という 言葉を聞いたことがあるでしょうか。

シックデイとは直訳すれば「病気の日」となります。
(「シック(sick)=病気」「デイ(day)=日」)

具体的には、 「糖尿病患者が感染症などによる発熱、下痢、嘔吐をきたし、 または食欲不振のため食事が取れない場合をシックデイと呼ぶ」 とされています。(科学的根拠に基づく糖尿病診療ガイドライン2013より)

つまり、風邪や下痢などのちょっとした体調不良や、 食欲がない日のことを指します。

ある調査によると、糖尿病患者さんのうち、 約6割がこのシックデイを経験しているといいます。

【Q.あなたはシックデイを経験したことがありますか?】

 

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糖尿病患者さんのシックデイ対策よりhttp://www.dm-net.co.jp/box/no33-1.pdf

 

3.なぜシックデイが危険なのか?

これだけ聞くとなぜわざわざ体調が悪い日のことを、 「シックデイ」なんて呼ぶのかと不思議に思われるかもしれません。

糖尿病の有無に関わらず、風邪を引いたり、食欲のないことは日常的によくあります。

しかし、糖尿病患者さんの場合にはこのような日常のちょっとした 体調不良が血糖値のコントロールを狂わせてしまいます。

そしてこの血糖値の異常が、 命に関わる症状を引き起こしてしまうことがあります。

では、いったいなぜただの風邪が、 血糖値を上げてしまうのでしょうか?

 

4.風邪を引くと血糖値が上がる理由

では、なぜただの風邪が血糖値を上げ、 コントロールを悪くしてしまうのでしょうか?

糖尿病の場合「血糖」と聞くと悪いイメージがあると思います。

しかし、本来は血糖とは、 体を動かすエネルギー源なのです。

特に、脳はこの血液中に含まれる糖(=血糖)からしか エネルギー補給ができないと言われます。

血糖とは体を動かすために欠かせないものなのです。

しかし、糖尿病の場合は、 この血糖値が上がりすぎることが問題になります。

実は、血糖そのものが、 悪いわけではないのです。

それを踏まえた上でなぜ風邪を引くと、 血糖値が上がってしまうのかお伝えします。

 

4-1.血糖が身を守る?!

実は、体を動かすエネルギー源である血糖が、 大量に必要になる時があります。

それが「風邪」を引いた時など、 体に「ストレス」がかかる時です。

風邪を引くと咳や鼻水、 腹痛や嘔吐など辛い症状が出ます。

また、体の中を考えてみても、 病気を治すために必死に働いています。

つまり、風邪を引くと、 体にストレスがかかっているのです。

こういったストレスに打ち勝つためには大 量のエネルギーが必要となります。

そこで必要となるのが、 「血糖」というわけです。

ストレスを感じると、 脳からストレスに抵抗するための指令が出ます。

この指令のことを、 ストレスホルモンといいます。

 

4-2.「ストレスホルモン」が血糖値を上げる

ストレスホルモンには血糖値を上げる働きがあります。

このストレスホルモンの働きによって血糖値を上げ、 ストレスから体を守るための大量のエネルギーを補給しているのです。

つまり風邪を引くと通常はコントロールできていた血糖値が 体を守るために突然上がってしまうということが起きるのです。

これは糖尿病以外の人でも起きていることです。

風邪だと思って病院を受診して血液検査をしたところ、 血糖値が高いと指摘されるということがあります。

これも風邪によってストレスを感じた体が、 身を守るためにエネルギーを補給しようと、 血糖値を上げているということが理由です。

しかし、糖尿病患者さんの場合には、 このちょっとした風邪が原因で起こる血糖値の上昇が、 思わぬ危険を起こすことがあるのです。

ですので、 「シックデイ」という名前をつけて 注意を呼びかけているのです。

では具体的にどのような 危険な症状があるのでしょうか?

 

5.危険な3つの症状

糖尿病患者さんがシックデイになると、 血糖値がコントロールできなくなります。

具体的には突然血糖値が高くなったり、 食欲の低下が続くことで低血糖を起こしてしまいます。

これらの血糖値の異常が、 以下の3つの命に関わる症状を引き起こします。

 

5-1.ケトアシドーシス

【原因】
・高度なインスリン作用不足+脱水
(インスリン作用不足とは、血糖値を下げる働きをするインスリンが足りなくなったり、
足りているのにしっかり働かない状態のことです。)

【症状】

初期症状 重症化
のどが渇く 呼吸困難
多飲 吐き気、嘔吐(おうと)
多尿 腹痛
体重が減る 意識障害
全身がだるい 昏睡

【備考】
糖尿病以外に心筋梗塞、感染症、 脳血管障害のある場合は重症化しやすい。
また、清涼飲料水を多飲している人にも多い。

5-2.高血糖高浸透圧昏睡(こうけっとうこうしんとうあつこんすい)

【原因】
・血糖値が非常に高くなる事で起こる著しい脱水と、脱水による循環不全

【症状】

初期症状 重症化
多飲 意識障害
多尿 けいれん
全身がだるい 昏睡(こんすい)

【備考】

2型糖尿病の高齢者、高カロリー輸血を受けている、 ステロイド治療中、利尿薬を使用中、清涼飲料水を多飲する物に多く見られる。

5-3.低血糖

【原因】
・食欲低下

一般的にシックデイの時には血糖値が高くなると言われています。
しかし、体調不良で食欲の低下が続くことにより血糖値が下がってしまうことがあります。
特に薬物治療を行なっている方には注意が必要です。
本来、薬物治療は血糖値を下げるための治療です。
つまり飲食によって上昇する血糖値を下げることが目的です。
しかし、食事が取れなくなっている時にこれらの薬を使用すると、 血糖値を基準値以下に下げてしまうことがあります。
こうして低血糖を引き起こしてしまいます。

【症状】

初期症状 重症化
発汗 意識障害
不安 けいれん
動悸(どうき) 昏睡(こんすい)
頻脈(ひんみゃく)
手指の震え
顔面蒼白(そうはく)
頭痛

 

 

 

6.病院では説明不足

このように、シックデイには命に関わるような 症状を引き起こす可能性があり注意が必要です。

「ただの風邪、ちょっと体調が悪いだけ」 だと油断してはいけません。

しかし、以下のような現実を あなたはご存知だったでしょうか。

【Q.医療機関で指導・説明を受けたことがありますか?】

 

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糖尿病患者さんのシックデイ対策よりhttp://www.dm-net.co.jp/box/no33-1.pdf

このアンケート結果によると、半数以上の糖尿病患者さんが、 シックデイについての説明を受けたことがないと言います。

これほど命に関わる 危険な症状を起こすシックデイ。

しかし、実際には、 十分な説明を受けていない患者さんが約6割もいるのです。

ですので、ここからはもしシックデイになった場合に、 どのように対処すればいいのか、 その具体的な方法をお伝えしていきます。

7.あなたの身を守る「シックデイ・ルール」

ここまで、シックデイが引き起こす 症状についてお伝えしました。

しかし、 「実際にどんな症状が起きたら危険なの?」と 疑問を持たれていると思います。

ですので、危険な症状の見分け方と、 対処方法について詳しく見ていきましょう。

7-1.シックデイかも?

以下のような症状が見られた場合には、 主治医への連絡や受診が必要です。
・嘔吐、または下痢が激しく半日以上続くとき
・食事が全く取れないとき
・高血糖が1日以上続くとき(350mg/dL以上)
・尿中ケトン体陽性が1日以上続くとき※
・高熱が2日以上続くとき(およそ39度以上)
・短期間で体重が減少したとき
・喉がかわく、多飲、多尿もしくは尿の減少
※尿中ケトン体を自分で測定するための機器が販売されています。

インターネットで「ケトン体 自己測定器」などで調べると見つかります。

 

7-2.5つのシックデイ・ルール

上記のような症状がみられたら、 すぐに主治医へ連絡、もしくは病院を受診します。

これらに当てはまらず、 「今日は体調が悪いな」と気づいた場合は、 症状が悪化する前に以下の方法で対処します。

この対処方法のことを「シックデイ・ルール」と呼びます。

①早めに主治医と連絡をとる
②食事ができなくても、自己判断でインスリン注射を中止しない
③水分(1日1リットル以上)をできるだけ摂る
④食欲のないときは、口当たりがよく消化のよい食べ物をできるだけ摂取して絶食しないようにする。特に糖質と水の摂取を優先する。
(おかゆ、ジュース、アイスクリームなど)
⑤病状をこまめにチェックする
(血糖自己測定は3〜4時間ごとに行う)
以上がシックデイの対処方法となります。

ただ、やはり素人には判断が難しいものです。

ですので①早めに主治医と連絡を摂ることを忘れないようにしましょう。

不安な時は主治医へ連絡し、 指示をもらうことで安心できますし、 危険な症状を防ぐことができます。

 

8.シックデイを予防しながら血糖値も下げる食材11

ただの風邪だと思っていたら、 突然危険な症状を起こしてしまうのがシックデイです。

シックデイ・ルールを思い出して 落ち着いて対応しましょう。

そして、何より大切な事は命の危険のある3つの症状は 風邪などの日常的に起こる『体調不良』が原因だという事です。

つまり、一番の対処方法は、 邪などの体調不良を予防する事ではないでしょうか。

そこで、風邪を引かないためには、 免疫力(めんえきりょく)を高めることがポイントです。

免疫力(めんえきりょく)とは、 風邪の原因となるウイルスや細菌から体を守る働きのことです。

今回は免疫力を上げ、 さらに血糖値も下げる食材11選をご紹介します。

ぜひ参考にして日頃の食生活から体調を管理しシックデイを防ぎましょう。

食材 血糖値を下げる栄養素 免疫力を高める栄養素
納豆 水溶性食物繊維、ビタミン1、ビタミンB2、マグネシウム、亜鉛、クロム アルギニン、イソフラボン、ビタミンB2
ほうれん草 ビタミンB1、ビタミンB2、マグネシウム、亜鉛、クロム ビタミンC、βカロテン、ビタミンB2
ブロッコリー ビタミンB1、ビタミンB2、マグネシウム、亜鉛 ビタミンC、βカロテン、ビタミンB2
海藻 アルギン酸、マグネシウム フコイダン、アルギン酸、ビタミンC、βカロテン、クロロフィル
玄米 ビタミンB1、ビタミンB2、マグネシウム、亜鉛、水溶性食物繊維 ビタミンE、亜鉛、鉄、セレン
きのこ ビタミンB1、ビタミンB2 βグルカン
にんにく ビタミンB1、亜鉛、アリシン アリシン
玉ねぎ ビタミンB1、ビタミンB2、マグネシウム、亜鉛、サイクロアイリン、イソアイリン ビタミンC、ビタミンE、オリゴ糖、ケルセチン、セレニウム
バナナ ビタミンB1、ビタミンB2、マグネシウム、亜鉛 ビタミンB2
レモン ビタミンB1、マグネシウム、クエン酸 ビタミンC、ビタミンB2、ビタミンE
黒酢 クエン酸 ビタミンB2、アミノ酸

 

 

 

 

9.まとめ

糖尿病の治療の目的は、 高い血糖値を抑えコントロールすることです。

そのための治療が食事、運動、薬です。

しかし、今回ご紹介した「シックデイ」は、 ただの風邪だと思っていたら、 突然血糖値を上昇させてしまうことがあります。

つまり血糖値をコントロールするためには食事、運動、薬だけでなく、 風邪を引かないための体調管理も重要だということです。

ただの風邪だからと油断していると、 命に関わる重大な症状を引き起こすかもしれません。

シックデイの時にはシックデイ・ルールを読み返して、 落ち着いて対応しましょう。

また、シックデイにならないためには、 免疫力をあげて風邪を引かないことが大切です。

今回は免疫力を上げ、 血糖値も同時に下げる食材11選もご紹介しました。

ぜひ参考にしてください。

最後に、糖尿病専門医によると、 「糖尿病は血糖コントロールさえきちんとできていれば、 健康な人となんら変わりない生活ができる病気」だと言います。

血糖値をコントロールし糖尿病の危険から身を守るためにも、 日頃から体調管理に気をつけて健康な生活を送りましょう。

 

 

 

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