うつ病のメカニズムと早期に発見するための症状理解とは

geralt / Pixabay

「うつ病はこころの風邪。早く薬をのんで休養をとりましょう」 という内容の話を聞いたことがあるかもしれません。

最近では、うつ病は多くの人にとって、 身近なものになりつつあるような気がします。

では、うつ病とはどのような症状があるのでしょうか。

ここでは、うつ病のメカニズム、 うつ病の分類などについて説明していきます。

 

1.うつ病とは

「憂うつである」、「気分が落ち込んでいる」 などと表現される症状を抑うつ気分といいます。

抑うつ状態とは抑うつ気分が強い状態です。

日常生活では、 うつ状態という言葉がよく用いられます。

精神医学では抑うつ状態という 用語を用いることが多くあります。

うつ病は気分の表現として表されることが多いため、 気持ちの問題と思われることがありますが、 ストレスなどによって脳が変化しているために起こる脳の病気です。

人間の脳は非常に多くの脳細胞からできてます。

そして、脳内での脳細胞から脳細胞への情報(命令や指令)は、 神経伝達物質という脳細胞の指令書のような働きによって、
細胞から細胞に情報を伝えるシステムがあります。

 

 

 

2.うつ病のメカニズム

うつ病は、脳内の神経伝達物質の減少によって、 引き起こされると考えられています。

この減少によって、情報量が減り、 「感情(こころ)」「行動(からだ)」といった活動が、 スムーズに行えなくなることでさまざまな症状が表れると考えられます。

しかし、うつ病が起きるメカニズムについては、 まだ明らかになっていないこともたくさんあります。

代表的な仮説を見てみましょう。

1960年代、抗うつ効果が認められた薬の働きを研究したところ、 抗うつ薬を与えられた動物は、ノルアドレナリンやセロトニンなどの神経伝達物質(モノアミン)が、
各神経細胞の末端にあるシナプス(神経細胞の接合部)で 増加していることがわかりました。

そのため、うつ病ではこれらの神経伝達物質が、 欠乏しているのではないかと考えられました。

現在使用されている抗うつ薬の多くは、 この仮説を元に開発され効果を上げてきました。

一方で、うつ病が起きるメカニズムは、それほど単純ではないということがわかっており、たとえば、モノアミンの増加は抗うつ薬投与後すぐにみられますが、
抗うつ効果が現れるには数週間かかってしまうことや、 モノアミンを減少させる薬(高血圧の治療薬)を飲んでも すべての人がうつ病になるわけではないことなど、 仮説では十分に説明することができないこともあります。

現在、脳の神経細胞の新生抑制や、 ストレスに関連するホルモン分泌システムの障害など、 さまざまな観点からの研究が行われており、 今後、メカニズムの解明が進むことが期待されます。

 

 

 

3.うつ病の分類

うつ病の分類方法の代表的なものをみていきたいと思います。

原因からみて外因性あるいは、 身体因性、内因性、心因性、あるいは性格環境因性と分ける場合があります。

 

3-1.身体因性うつ病

アルツハイマー型認知症のような脳の病気、 甲状腺機能低下症のような体の病気、 副腎皮質ステロイドなどの薬剤が、 うつ状態の原因となっている場合をいいます。

 

3-2.内因性うつ病

典型的なうつ病であり、抗うつ薬がよく効きます。

また、治療しなくても一定期間内によくなるといわれます。

ただ、本人の苦しみや自殺の危険などを考えると、 早く治療したほうがよいことは言うまでもありません。

躁状態がある場合は、双極性障害と呼びます。

 

3-3.心因性うつ病

性格や環境がうつ状態に強く関係します。

抑うつ神経症(神経症性抑うつ)と呼ばれることもあり、 環境の影響が強い場合は反応性うつ病という言葉もあります。

うつ病の分類は、原因を重視したうつ病分類とは、 異なる視点からの分類が最近、よく用いられています。

たとえば、アメリカ精神医学会が出している DSM-Ⅳという診断基準には「気分障害」という項目があり、 うつ病性障害と双極性障害に分けています。

さらにうつ病性障害の中に、 一定の症状の特徴や重症度をもつ大うつ病性障害と、 あまり重症でないが長期間持続する気分変調性障害があります。
(大うつ病性障害の内容については、5.うつ病の診断基準で説明しています。)

このような分類法は異なる立場からの分類であり、 それぞれに長所と短所があります。

時に「内因性うつ病=大うつ病性障害」、 「抑うつ神経症=気分変調性障害」のように誤解されますが、 状況に応じて適切に使い分けることが大切となっています。

厚生労働省が実施している患者調査によると、 日本の気分障害患者数は1996年には43.3万人、1999年には44.1万人とほぼ横ばいでしたが、 2002年には71.1万人、2005年には92.4万人、 2008年には104.1万人と、著しく増加しています。

しかし、判断基準が変わってきている点を考慮することは大切です。

「最近うつ病が増えた」と言われることが多いですが、 うつ病は検査などで明確に診断できる疾患ではないため、診断基準が少し変わることによって、 診断される患者数にかなりの差がでてくるからです。

人数が増えてきている傾向はあると思われますが、 最近の増加が本当の増加なのか、 うつ病であるという判断方法の違いの影響が、 大きいかについての判断は十分注意する必要があるでしょう。

 

 

 

4.うつ病の症状

うつ病の症状について、自分で感じる精神的症状、身体的症状、 周囲からみてわかる症状についてみていきましょう。

自分で感じる精神的症状
憂うつ、気分が重い、気分が沈む、悲しい、不安である、 イライラする、元気がない、集中力がない、好きなこともやりたくない、 細かいことが気になる、悪いことをしたように感じて自分を責める、 物事を悪い方へ考える、死にたくなる、眠れない など

自分で感じる身体的症状
食欲がない、体がだるい、疲れやすい、性欲がない、頭痛、肩こり、 動悸、胃の不快感、便秘、めまい、口が渇く など

周囲から見てわかる症状
表情が暗い、涙もろい、反応が遅い、 落ち着かない、飲酒量が増える など

以上のような症状が日常的、継続的にみられる場合には、 医療機関にいくことをおすすめします。

次にうつ病の診断をみていきましょう。

 

 

 

5.うつ病の診断基準

うつ病の診断基準(大うつ病診断基準DSM-Ⅵ)では、 次のような症状が、少なくとも1つ以上あり、 ほとんど1日中、ほとんど毎日あり、2週間にわたっている症状のために、 著しい苦痛または社会的、職業的、または他の重要な領域における 機能障害を引き起こしている状態を示しています。

①.抑うつ気分
②.興味または喜びの喪失

さらに、以下の症状を併せて、 合計で5つ以上が認められる状況です。

③.食欲の減退あるいは増加、体重の減少あるいは増加
④.不眠あるいは睡眠過多
⑤.精神運動性の焦燥または制止(沈滞)
⑥.易疲労感または気力の減退
⑦.無価値感または過剰(不適切)な罪責感
⑧.思考力や集中力の減退または決断困難
⑨.死についての反復思考、自殺念慮、自殺企図

うつ病の傾向があると感じたら、 適切な医療機関に行きましょう。

大切なのは、信頼できる主治医をもつことです。

自分に合ったアドバイスを主治医にもらうことが重要になります。

どのようなタイプのうつ状態であっても、 時間がかかっても気分がよい方向に向かう日は必ずありますので、
絶対に自殺は考えないでください。

うつ病は、一人ひとり症状が異なります。

うつ病と診断されたすべての方の治療に あてはまるようなアドバイスはとても難しいことです。

例えば、典型的なうつ病で、なかなか寝付けず、一方、朝早く目が覚めてしまい、さらには朝の気分がとても悪い方にとっては、 「早寝早起きの規則正しい生活をこころがけましょう」というアドバイスが、 かえって苦しめたり、追い込んだりする言葉になってしまうこともあります。

また、うつ病の時は、 「薬をのんで、休養をとる」のがよいといわれますが、 これがあてはまる人もいれば、あてはまらない人もいます。

あまり本や情報を一方的に鵜呑みにせず、参考にしながら、 自分の症状を理解してくれる医療機関、 信頼できる主治医が見つけるとよいかもしれません。

 

 

 

6.まとめ

うつ病についてのメカニズム、うつ病の分類、 うつ病の症状、診断基準などについて見てきました。

うつ病の診断基準は、時代に合わせて変化をしてきています。

また、メカニズムも以前から比べれば、 多くのことがわかってきていますが、 それでも全てが明らかになっているわけではありません。

うつ病は、一人ひとり症状が異なります。

うつ病と診断されたすべての方の治療にあてはまるようなアドバイスはとても難しいことです。

本や情報を一方的に鵜呑みにせず、参考にしながら、自分の症状を理解してくれる医療機関、 信頼できる主治医が見つけるとよいでしょう。

 

 

 

 


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