
人間は、何万年もの間体を動かして、 食糧を手に入れてきた結果、筋肉が発達し、 筋肉を動かさなくては健康が保てないような 身体のしくみになっています。
しかし、現代の日本では、 生活が電化・機械化などで便利になり、仕事もデスクワークが増え、 意識的に運動しなくては筋肉が衰え、健康を保つことができません。
適度な運動が免疫力を向上させます。
なんとなくわかっているけれど、 なかなか運動するモチベーションが上がらない人のために、 適度な運動が免疫力を向上させる理由と、
免疫力を強化する「とにかく簡単な」3つの運動についてまとめてみました。
目次
1.適度な運動が免疫力を強化する理由
1-1. 自律神経のバランスを調節する
1-2. 体温を上げる
2.免疫力を強化するとにかく簡単な運動
2-1. ウォーキング
2-2. スクワット
2-3. 8の字運動
1.適度な運動が免疫力を強化する理由
1-1. 自律神経のバランスを調節する
自律神経とは、自分の意思とは関係なく、 内臓の動きや呼吸などを24時間コントロールしている神経です。
交感神経系と副交感神経系の二つの系があり、 前者は活動・緊張・ストレスモード、 後者は休息・リラックス・睡眠モードへと体を導きます。
この自律神経と免疫力は どのような関係があるのでしょうか。
免疫の中心を担っているのは、血液中の「白血球」という成分です。
白血球には、細菌など比較的大きめな異物を処理する「顆粒球」と、 ウイルスなどそれよりも小さな異物を処理する「リンパ球」の二つがあるのですが、 これらは、交感神経が優位になると顆粒球が増え、 副交感神経が優位になるとリンパ球が増えるという特性があることがわかっています。
つまり、自律神経のバランスがよいと白血球のバランスもよくなりますが、 自律神経のバランスが崩れると白血球のバランスも崩れてしまうので、 免疫力が下がってしまうのです。
引用:小林弘幸著『なぜ、「これ」は健康にいいのか?』
【交感神経が過剰に優位な状態】が続くと、 ⇒「顆粒球」が増えすぎ、 ⇒健康に必要な常在菌まで殺してしまい、かえって免疫力を下げます
また、使われない顆粒球(寿命2~3日)が死ぬとき、 菌を殺すために持っていた活性酸素をばらまいて、細胞を傷つけます
また、【副交感神経が過剰に優位な状態】が続くと、 ⇒「リンパ球」が増えすぎ、 ⇒抗原に敏感になりすぎて、アレルギーを起こしやすくなります。
自律神経のバランスをとることが、免疫力アップのカギなのです。
では、適度な運動はどうして 自律神経のバランスを整えるのでしょうか。
運動不足の人は、一般に、 呼吸が浅くなっています。
呼吸が浅くなると体は酸素不足を感じ、交感神経が働いて、 大切な脳に優先的に酸素を送るため、 全身の末梢血管を収縮させようとします。
逆に、有酸素運動などで呼吸が深くなると、 体内に酸素が増え、副交感神経が働いて、 末梢の血管を拡張し、血液に乗せて酸素が全身に送られます。
実は、交感神経に比べ、副交感神経の活動レベルは、 環境や加齢など、様々な要因で下がりやすいのです。
男性は30歳過ぎ、 女性は40歳過ぎから急降下します。
特に中高年の方は、副交感神経の 活動レベルを上げることに注力しましょう。
激しい運動は呼吸を早く・浅くし、 交感神経を優位にします。
適度な有酸素運動が副交感神経のレベルを上げ、 自律神経のバランスを調整してくれるのです。
1-2. 体温を上げる
体温と免疫力には、 どのような関係があるのでしょうか。
免疫の中心を担っている白血球は、 体温が上昇すると活発に働きます。
だから、体温が1度下がると、 免疫力は30%も低くなり、
逆に1度上がるだけで 5倍から6倍も高くなるといわれています。
また、健康な細胞は低体温だと新陳代謝が悪くなりますが、 ガン細胞は35度台のときもっとも活発に増殖し、39.3度で死滅します。
そのため、体温が高いバセドウ氏病(甲状腺機能亢進症)の患者のガン発生率は、 一般人の千分の1だそうです。
では、体温を恒常的に上げるもっともよい方法は、なんでしょうか。
それは、 「基礎代謝を上げること」です。
そもそも 「基礎代謝」とはなんでしょうか。
相当するエネルギー量(熱量)は、成長期が終了して代謝が安定した一般成人で、 一日に女性で約1,200、男性で約1,500キロカロリー(kcal)とされている。
引用:Wikipedia(https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%9F%BA%E7%A4%8E%E4%BB%A3%E8%AC%9D)
基礎代謝の多くは体温維持に使われるので、 体温と基礎代謝は正比例します。
では、どうすれば 基礎代謝を上げることができるでしょうか。
答えは、「筋肉を増やす」です。
なぜなら、筋肉は私たちの体の中で、 最も多く熱を作り出している器官だからです。
筋肉は、成人後、 何もしなければ加齢によって衰えます。
運動によって適度な負荷をかけることによって、 維持・増強することができるのです。
2.免疫力を強化するとにかく簡単な運動
次に、運動嫌いな方でも続けられる、とにかく簡単だけど免疫力を強化する 運動をご紹介しましょう。
2-1. ウォーキング
免疫力を上げる運動として、 ほとんどの医師が筆頭に挙げるのは 「ウォーキング」でしょう。
歩いているときの「タッ、タッ、タッ」というリズムが自律神経を整えてくれます。
あまりハードに歩くと交感神経が上がってきますが、 ゆっくりリズムよく歩いていると副交感神経が上がってきます。
引用:小林弘幸著『自律神経を整える』「あきらめる」健康法』
下半身を中心に筋肉を使い、体温が上昇する。
腎臓へ行く血液の量も多くなるから、排尿量が増える。
ただ歩くだけでも体にたまった水を出し、若返ることができるのだ。
引用:石原結實著『老化は「体の乾燥」が原因だった!』
このような大きな筋肉を使うウォーキングは、運動の基本であり、血流をよくする効果があります。
引用:安保徹著「自分ですぐできる免疫革命」
速度はあまり気にしなくていいですが、 リズミカルに歩くのが良いようです。
週に1回何時間も歩くよりは、週3回以上、できれば毎日、 30分~1時間程度歩くほうが効果的です。
ところで、よくウォーキングと比較される ジョギングはどうでしょうか。
実は、医師たちは、圧倒的にジョギングより ウォーキングを健康法として推奨しているようです。
ジョギングは運動量が大きいため、どうしても呼吸が速く、 浅くなり、副交感神経のレベルを下げてしまいます。
とくに中高年は、そもそも副交感神経のレベルが低下しているので、 それをさらに下げるような運動は、健康維持効果があるどころか、 かえって体を老化へと追いやる可能性があるのです。
引用:小林弘幸著『なぜ、「これ」は健康にいいのか?』
激しい運動、サッカーやスカッシュなど敏捷性が必要な運動は、心臓に負担がかかるので、 突然死の可能性も上がります。
特に40歳を過ぎたら、自分の体調・体力を把握しながら、 敏捷性を必要とする運動より 持久力を鍛える運動をするのがおススメです。
2-2. スクワット
1日30分外でウォーキングすることが難しい方に おススメなのが「スクワット」です。
「しゃがむ」「立ち上がる」を繰り返すだけで、 下半身の筋肉を中心に鍛えながら、血行を良くし、 体温を上昇させることができる優れ技です。
スクワットのやり方は、いたってシンプル。
②息を吸いながらしゃがむ。
③息を吐きながら立ち上がる。胸を前に押し出し、お尻を後ろに突き出すように。
②、③を5~10回くり返す(これが1セット)。1セット終えたら、少し休憩。最初は5セット程度からはじめる。
引用:石原結實著『老化は「体の乾燥」が原因だった!』
運動嫌いで「スクワット」と聞いただけで 逃げ出したくなる方でも大丈夫。
やってみたら、意外に簡単でした。
引用文には回数の目安が書いてありますが、あまり気にせず、 とりあえず自分がやりたいと思える回数から、 気軽に始めてみてください。
2-3. 8の字運動
デスクワークの合間に簡単にできて、全身が温まるのが、 医学博士安保徹先生が考案した「8の字体操です」
体の中で力がはいっているところがないかチェックして、全 身の力をできるだけ抜いてリラックスしてください。
②腕を上に上げます。手は自然に開いたままで結構です。
➂両腕で、頭の上に、床に対して水平に、大きく「8の字」を描きます。
この時に、腰から上も力を抜きながら、腕の動きに合わせて自然に揺れるようにします。これだけです。
引用:安保徹著「疲れない体をつくる免疫力」
私もやってみましたが、 とても気持ちが良く、 リラックスできる運動です。
習慣化すると肩や背のコリを解消できるようですので、 ぜひ、お試しください。