生理不順はピルで治らない?!正しく理解しないと危険なワケ

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生理不順を治すためには、 ピルが効くと言われることがあります。

でも実は、これは間違いだと知っていますか?

正しくは、 見かけ上の生理不順が整うだけで、 本来の生理の役割は失われます。

ピルは本来、避妊を目的とした薬です。

つまり、生理を止めて、 妊娠しないようにする薬です。

でも、ピルを使った時には、 一見すると生理不順が整ったように見えてしまいます。

しかし、生理は妊娠の準備のためにあります。

その生理を止めているのに、 生理不順が治ったとは言えません。

治るのではなく、ピルの働きによって、 意図的に周期をコントロールするということです。

軽い気持ちで手を出してしまうのは、 とても危険なことです。

ピルはあくまでも避妊薬です。

ピルを飲み始める前に、

・なぜ避妊薬のピルが生理不順を治すと言われるのか
・どんな副作用があるのか
・妊娠には影響しないのか

このようなことを確認しましょう。

今回の記事では、 その詳細をお伝えしています。

飲み始めてから後悔しないためにも、
ピルについて正しく理解しましょう。

1.ピルとは

ピルとは、主に避妊のために使われるもので、 女性ホルモンが含まれたホルモン剤のことです。

経口避妊薬とピルとは同じ意味になります。

日本では1999年に、 避妊目的の使用が認可されました。

もともと、避妊目的として使われていたピルですが、2008年には、子宮内膜症に伴う月経困難症の治療薬としても 使用することが認可されています。

つまり、ピルを使う目的には、 避妊と治療の2つがあります。

1-1.避妊用ピル

ピルの主な働きは、 排卵を抑えることによる避妊効果です。

これは、ピルの服用によって 女性ホルモンのバランスを変わり、 脳が「妊娠した」と認識するためです。

ピルにより脳が妊娠していると錯覚することで、 排卵が抑えられるということです。

妊娠するためには、 排卵された卵子と精子の受精が必要ですが、 ピルの効果で排卵が起きなければ 妊娠することはありません。

これがピルの避妊効果です。

正しくピルを服用することで、 ほぼ確実に避妊ができると言われています。

この他にも、受精卵が着床するために必要な 子宮内膜の増殖を抑えたり、 子宮頸管粘液の性質が変化することで、 精子が子宮内に入りづらくなることによる 避妊効果もあります。

 

 

1-2.治療用ピル

ピルには避妊効果以外にも 女性のトラブルを改善する働きがあるとされます。

これを服効果と呼び、 その働きには次のようなものがあります。

・生理不順の改善
・月経困難症の改善
・月経前症候群(PMS)の改善
・生理痛の改善
・出血量の軽減、過多月経の改善
・子宮内膜症の予防
・子宮筋腫の予防
・卵巣がんの発症率の低下
・子宮体がんの発症率の低下
・生理周期を早める
・生理周期を遅らせる
・ニキビの改善

 

 

 

2.生理不順には低用量ピルが使われる

2-1.低用量ピルとは

ピルの種類には、 ピルに含まれているホルモン量の違いによって、 高用量ピル、中用量ピル、低用量ピルの3つがあります。

現在、一般的にピルと言われる時には、 低用量ピルを指すことが多く、 生理不順に対しても使われています。

この低用量ピルとは、 ピルに含まれているエストロゲン(卵胞ホルモン)の量が、 0.03mg〜0.05mg未満のものになります。

 

 

2-2.低用量ピルの飲み方

低用量ピルの飲み方は、 4週間を1サイクルとします。

初めの3週間は毎日服用し、 その後の1週間は休薬します。

服薬期間中には、 毎日一定の時間に飲むことと、 飲み忘れのないように注意する必要があります。

また、服薬を始めるタイミングには、 2つのタイプがあります。

1つ目は、day1スタートタイプと言われる一般的なもので、 月経開始日から飲み始めます。

避妊を目的としている場合には、 服薬したその日から効果が得られます。

もう一つのタイプは、Sundayスタートタイプで、 月経開始後の初めての日曜日から飲み始めます。

避妊を目的としている場合には、 服用を始めてから7日間は、 避妊効果が発揮されないことがあります。

 

 

2-3.低用量ピルの種類

低用量ピルには3種類あります。

それぞれ、薬に含まれているホルモンの量や、 特徴が異なります。

後述しますが、 ピルは医師の処方箋がないと購入することができません。

そのため、どの種類のピルを使うかは、 症状やピルの効果を確認しながら、 医師と相談して決めることになります。

・第1世代ピル
オーソM、シンフェーズと言われる種類です。

特徴としては、 月経困難症のコントロールや、 子宮内膜症の治療効果があります。

また、出血量が少ないことや月経前症候群(PMS)にも効果が期待できます。

ただし、不正出血の頻度が高くなります。

第1世代ピルは、 ノルエチステロンという黄体ホルモンが使用されていますが、このホルモンの特性上、薬に含まれるホルモン量が多くなります。

これにより、 乳がんや子宮頸癌のリスクが高くなることがわかり、 この問題を解決するために、第2世代ピルが開発されました。

・第2世代ピル
第1世代ピルの問題を解決するために、 レボノルゲストレルという新しいホルモン剤が、開発されました。

これが第2世代ピルです。

低用量のホルモンでも効果が見られましたが、 新たに男性化症状という副作用がわかりました。

そこで、この問題を解消するために、4週間の服薬サイクルに応じて、 段階的にホルモン量を調節する工夫がされました。

2段階でホルモン量を調節するものを2層性ピル、 3段階で調節するものを3層性ピルと言います。

ホルモン量の変化なしないものは、 1層性ピルと言われます。

現在、日本で販売されているピルは、 1層性と3層性のものになります。

・第3世代ピル
さらに、第2世代ピルの男性化症状を抑えるために、 新たにデソゲストレルやゲストデンという、 新しいホルモン剤が開発されました。

これが第3世代ピルです。

このように、世代やホルモン含有量によって、 ピルの種類が分類されています。

一番新しく開発された第3世代ピルが、 もっとも良い薬だというわけではなく、 症状や副作用を確認しながら処方されています。

 

 

 

3.生理不順とピルの関係

ここまでピルについて、 詳しくお伝えしてきましたが、 なぜ避妊薬で生理不順が治るのでしょうか。

本当にピルは生理不順を治すのでしょうか。

通常の生理周期は、 エストロゲン(卵胞ホルモン)と、プロゲステロン(黄体ホルモン)と言われる2つの女性ホルモンのバランスによって調節されています。

もう少し生理周期についてお伝えすると、 まず、卵巣で卵子が成熟すると、 その卵子が子宮内に飛び出します。

これが排卵です。

排卵後、卵子が精子と受精しなければ、 2週間ほどで子宮内膜が剥がれます。

この剥がれた子宮内膜を外に出すことを月経と言い、 一般的には生理と言われています。

つまり、生理周期とは、卵子の成熟→排卵→月経の繰り返しです。

通常、この周期が25〜38日で繰り返されますが、 これが乱れた状態を生理不順と言います。

その主な原因が、 女性ホルモンのバランスが乱れることによるものです。

そして、ピルが生理不順を改善すると言われる理由は、 ピルに含まれるホルモンの働きにより、 生理周期を意図的に調節することで、
見かけ上は生理周期が一定になるからです。

 

 

 

4.ピルで生理不順が改善しない理由

生理不順の改善にピルが有効と言われますが、 実は、これは正しくありません。

先ほどお伝えしたように、 生理不順改善のために使われるピルは、 4週間を1サイクルとして服用します。

基本的に3週間は毎日服用を続け、 その後の1週間は休薬します。

つまり、生理周期に合わせて、 ホルモン量を調節することによって、 生理周期をコントロールするようなイメージです。

ピルを使用していても、 休薬期間中には出血がみられます。

ただ、この出血は、 通常の生理に起こる出血とは異なり、 消退出血と言われます。

休薬中にホルモンバランスが変化して、 子宮内膜が剥がれて排出されるためです。

しかし、服薬期間中には排卵が起きないため、 卵子の成熟→排卵→月経という、 通常の生理周期に見られる反応とは異なります。

つまり、ピルによる生理不順の改善とは、28日〜35日のサイクルを、 薬でコントロールするということであり、 通常の生理の役割はありません。

あくまでもピルは避妊薬です。

当然ですが、ピルによって見かけ上の生理周期が整っていても、 その間に妊娠することはありません。

妊娠を希望される場合には、ピルの服用をやめる必要があります。

ピルを服用すれば、周期はコントロールされますが、通常の生理周期に見られる反応とは 違うことを理解しておきましょう。

 

 

 

5.ピルをやめたらどうなるの?妊娠はできる?

生理不順の主な原因は、 女性ホルモンのバランスの乱れです。

つまり、本来の順調な生理周期を取り戻すには、 このホルモンバランスを整えることが必要です。

しかし、ピルを服用しても、 このホルモンバランスは整いません。

ピルを飲むと、 体の中でうまく調節できなくなったホルモンを 補っているように言われることがよくあります。

しかし、補っているわけではなく、 生理が起きないように、 ホルモンバランスを意図的にコントロールしているのが、ピルです。

それは、避妊を目的として開発されている薬だからです。

では、ピルの服用をやめたらどうなるのでしょうか。

ピルは、本来、私たちの体に備わっている ホルモンバランスの調節機能を改善する薬ではありません。

つまり、ピルを服用しても、自らホルモンバランスを調節できるようにはなりません。

その結果、ピルをやめれば、 再び生理不順が起こります。

ピルをやめた直後は生理周期が整っていたけど、 しばらくすると生理不順になったとか、

結婚前にピルを飲んでいたけど、 妊娠を希望してピルをやめたら生理不順になったなど、 根本的な生理不順の解決にはなっていません。

さらに、ピルは排卵機能を抑えるため、 卵巣の働きを止めてしまうことがあります。

そのため、ピルをやめると、 生理が来ないということもあります。

当然ですが、生理が来なければ、 妊娠することはできません。

ピルをやめて生理が来なければ、 今度は生理が来るようにするための 治療が必要になってしまいます。

ピルは避妊薬だということを忘れないでください。

 

 

 

6.飲み始める前に確認!ピルの副作用

ピルには、いくつかの副作用もあります。

最近では、医師や薬剤師から、 薬の効果や副作用の説明が、 しっかりとされることが増えました。

ただ、主な副作用や、 よく見られるものだけになることもあります。

また、10人中2人程度に、 副作用が見られるとも言われています。

ピルの使用を検討しているのであれば、 その副作用についても、 事前にしっかりと確認しておきましょう。

・吐き気、頭痛、不正出血
ピルを飲み始めてから1〜2週間ほどは、吐き気、頭痛、不正出血が見られることがあります。

ただ、ほとんどの場合には、 服薬を続けているうちに改善していきます。

・不正出血
ピルが普及したことにより、 不正出血が増えたとも言われています。

特に、喫煙者には、 ピルの服用による不正出血が多く見られます。

・乳房の張り、痛み
乳房が張ったり、押すと痛みが出ることがあります。

ほとんどの場合には問題のない副作用と言われますが、 ピルの種類を変更することで改善されます。

・血栓症
血栓症とは、血管が詰まってしまい、 血液が流れなくなってしまうものです。

エコノミー症候群や心筋梗塞、 脳梗塞といったものが含まれます。

特に喫煙、肥満、高血圧、偏頭痛のある方や、 40歳以上の方では血栓症の危険が高くなります。

・子宮頸がんの発症リスクが増加
ピルを長期間にわたり服用することで、 子宮頸がんの危険が高まるとされます。

一方で、卵巣癌や子宮体がんの発症リスクは、 軽減されるとも言われています。

 

 

 

7.ピルには医師の処方箋が必要

ピルを購入するためには、 医師の処方が必要です。

主に、婦人科や産科で処方されます。

7-1.ピルの処方に必要な検査

ピルの処方に必要な検査は、 問診、血圧測定、体重測定があります。

また、これ以外にも必要に応じて、 血栓症の検査、子宮頚部細胞診、性感染症検査、乳房検診が行われます。

 

 

7-2.ピルが服用できない人

WHO(世界保健機関)によると、 以下の場合にはピルの使用ができません。

・授乳している(母乳)
・分娩後21日以内
・35歳以上で、1日15本以上の喫煙者
・高血圧症
・偏頭痛
・乳がん
・心疾患
・胆のう疾患
・糖尿病
・肝硬変
・肝腫瘍

 

 

7-3.ピルは健康保険が効くの?

避妊目的としてピルを利用する場合には、 保険適応外となり実費での購入になります。

1サイクル(1ヶ月)にかかるピル購入費用は、 およそ2,000円〜3,000円前後となっています。

一方、生理不順の改善を目的とする場合には、 子宮内膜症による月経困難症の治療薬として認められているため、 保険が適応されることがあります。

子宮内膜症以外の原因による生理不順の場合には、 保険適応外となり実費での購入となります。

 

 

7-4.ピルを通販で購入しても大丈夫?

先ほどお伝えした通り、 ピルを購入するためには、 医師の処方が必要になります。

ただ、インターネットを使って、 海外からの個人輸入でピルを購入できるようです。

病院で購入するよりも安い、 手軽に入手できるなどと宣伝されていますが、 これは危険です。

通販で購入したピルの中には、偽薬(ニセモノの薬)であったり、有害成分が入っているものあります。

また、医師の処方した薬で副作用被害が起きた場合には、 医薬品副作用被害救済制度というものがありますが、 通販で購入した場合には適応されません。

また、生理不順の治療としてピルを考えている場合には、 そもそもなぜ生理不順が起きているのか、この根本的な問題を見直すことが大切です。

そのためにも、 医師の診察や処方がないまま、 安い、手軽だからと言って、 通販でピルを購入することはやめましょう。

 

 

 

8.まとめ

ピルで生理不順が治るとよく言われます。

しかし、実際には生理不順が治るのではなく、 女性ホルモンのバランスを意図的にコントロールして、 見かけ上の生理周期が整うということです。

ピルはあくまで避妊薬ですので、 生理周期が整ったように見えたとしても、 実際の生理機能は果たしていません。

つまり、ピルの効果は、本来の生理周期である、卵子の成熟→排卵→月経という流れを 止めるものだということです。

ピルは生理不順を治す薬ではありません。

もし、生理不順を治すためにピルを検討されているのなら、 軽い気持ちで手を出さないようにすることが大切です。

もしピルを服用される場合には、

・なぜ生理不順が治ると言われるのか
・妊娠を希望してピルをやめるとどうなるのか
・どんな副作用があるのか

こういったことを、 もう一度しっかりと確認した上で検討しましょう。

特に、インターネットの通販で、ピルを購入してはいけません。

日本では、医師の処方がないと 手に入れることができない薬です。

ピルを飲み始める前に、 正しくピルを理解することが大切です。

ぜひ今回の記事を参考にして下さい。

 

 


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