悪性?それとも良性?甲状腺腫瘍の確定診断に必要な検査方法とは

DarkoStojanovic / Pixabay

突然、甲状腺腫瘍だと言われ、 驚きと不安を感じていませんか。

甲状腺腫瘍は自覚症状がないため、 健康診断や人間ドック、他の病気で診察を受けた時に、
突然見つかる事が多い病気です。

さらに、腫瘍と聞くとがんだと思い怖くなると思います。

しかし、この腫瘍には悪性と良性があり、 がんと言われる悪性の腫瘍はわずか5%です。

ただし、甲状腺腫瘍だと指摘されただけでは、 それが悪性か良性かは判断できません。

そのため、詳しい検査で確定診断を受けることが重要になります。

ただ、そうは言っても、 いったいどんな検査を受けるのか、 もし悪性だったらどうしたらいいのかと不安があると思います。

そこで今回は、 甲状腺腫瘍の確定診断に必要な検査方法やその費用、 診断までの流れと治療方法を詳しくお伝えします。

あなたの不安を解消するために、 ぜひ参考にして下さい。

 

 

 

1.甲状腺腫瘍が悪性のがんである確率は5%

甲状腺腫瘍とは一体どんな病気なのでしょうか。

腫瘍と聞いてがんが見つかったと、 不安や恐怖を感じているかもしれません。

詳しい検査を勧められても、 検査を受けること自体が怖いと思います。

しかし、その前に知っていただきたい事があります。

それは、腫瘍とがんは同じではないという事です。

甲状腺腫瘍とは、甲状腺と言われる、 のどぼとけにある小さな臓器にしこりができる病気ですが、 がんである悪性がんではない良性の2 種類があります。

そして、95%が良性の腫瘍で、 残りのわずか5%が悪性のがんなのです。

悪性の場合には、 手術や抗がん剤治療などが必要になりますが、 その90%が治療可能なものです。

そして、95%の良性の場合には、 特別な治療も必要ない場合がほとんどです。

さらに、この腫瘍は進行が非常にゆっくりであるため、早期に発見して対処する事で治す事ができる病気です。

ただし、甲状腺腫瘍はほとんど自覚症状がないため、 人間ドックや健康診断などで突然指摘される事が多いのですが、 その腫瘍が悪性か良性なのか詳細な診断まではできません。

そこで確定診断のために、 詳しい検査が必要となり病院の受診を勧められます。

 

 

 

 

2.甲状腺腫瘍の確定診断に必要な検査方法

甲状腺腫瘍の検査は、 次のような問診から始まります。

・しこりの大きさに変化はないか

・痛みがあるか

・声がかすれないか

・息苦しくはないか

・飲み込みづらさはないか

・家族に同じ病気の人はいないか

・放射線被ばくはないか

その後、触診、超音波検査、穿刺吸引細胞診検査によって、 悪性か良性かを確定診断していきます。

 

2-1.触診

のどのしこりを直接触って、 その状態や部位を確認します。

良性の場合には、弾力があり表面が滑らかで、 指で押すと少し動きがあります。

悪性の場合には、弾力が乏しく表面がボコボコしていて、 指で押しても動きがありません。

専門医が診察することで、 ある程度は悪性か良性かの判断が可能ですが、 確定診断をするためには超音波検査や細胞の検査が必要です。

2-2.超音波検査(エコー検査)

のどに超音波を当て、 腫瘍の大きさや位置、性質を画像で観察します。

直接触ってもわからないような、 2〜3ミリの小さなしこりも見つける事ができ、 90%の確率で悪性か良性かを鑑別できます。

この検査にかかる時間は15分程度で、 のどにジェルを塗って機械を当てるだけなので痛みもなく、 その場で結果を聞く事ができます。

確定診断に重要な検査ですが、 治療方針を決定するためにも、 次の細胞の検査が検討されます。

 

2-3.穿刺(せんし)吸引細胞診検査

この検査は超音波検査でしこりが不規則な形だったり、 周囲に腫れが見られる場合に実施され、 確定診断を判断するためにもっとも重要な検査方法です。

さらに悪性の場合には、 その詳細ながんの種類も診断できるため、 治療方針の決定のためにも重要になります。

具体的な検査方法は、 超音波を見ながらしこりに細い針を刺し、 採血する時のように吸引して細胞を採取します。

のどに針を刺すので怖く感じますが、 麻酔の必要もなく出血することもほとんどありません。

検査にかかる時間は1時間ほどです。

採取した細胞を病理検査と言われる方法で、確定診断されます。

 

2-4.その他の検査方法

・血液検査

甲状腺の働きは甲状腺ホルモンを分泌することです。

そのため、血液検査でホルモン値を測定すると、 甲状腺の異常を見つける事ができます。

ただし、この検査は甲状腺の状態を調べるもので、 これだけで確定診断をすることはできません。

人間ドックや健康診断の血液検査の結果も同様に、 がんではなく別の甲状腺の病気である可能性もあります。

血液検査の正常値は以下を参考にして下さい。

検査項目名 正常値
TSH(甲状腺刺激ホルモン) 0.35〜4.94μIU/ml
FT4(サイロキシン) 0.70〜1.48ng/mL
Tg(サイログロブリン) 33.7μg/mL
TgAb(甲状腺刺激抗体) 40μg/mL以下

 

・レントゲン検査

のどのレントゲンを撮影し、 甲状腺の状態を確認できますが、 これだけでは確定診断をする事はできません。

また、しこりが小さい場合には、 この検査は省略されることもあります。

その他、悪性腫瘍だと確定診断された場合には、 CTMRIシンチグラフィー検査PET検査がされます。

これらの検査で腫瘍の詳しい種類や進行具合、 転移はないかを調べて治療方針が決定されます。

 

 

 

 

3.甲状腺腫瘍の種類と治療方法

甲状腺腫瘍が悪性の場合と良性の場合では、
その治療方法が変わってきます。

さらに、悪性腫瘍(がん)には5種類あり、 これも治療方法が異なっています。

この中で悪性度が高いものは2%にも満たないとされ、 ほとんどのタイプは、その進行がきわめて遅く、 早期発見と適切な治療で治す事ができる病気です。

 

3-1.良性腫瘍の治療方法

腫瘍が良性で小さい場合には、 すぐに積極的な治療は必要ありません。

しかし、しこりが大きくなったり、 甲状腺の機能に異常が出ることもあるため、 年1〜2回の定期的な診察や検査が必要となります。

また、腫瘍を小さくしたり、それ以上大きくしない目的で、 甲状腺ホルモンが処方される事があります。

ただし、この薬で腫瘍が小さくなる例は5%、 半分以下になる例でも10〜20%です。

さらに、良性の腫瘍でも次のような場合には、 甲状腺を切り取る手術をする事があります。

 

悪性腫瘍の可能性が否定できない場合

甲状腺腫瘍の中には確定診断の難しいケースもあり、 完全に良性だと言えないこともあります。

そのような場合には、手術が検討されます。

 

腫瘍が大きくなりすぎた場合

腫瘍が大きくなり3cmを超えると、 外見的にもしこりが目立つようになるため、 美容上問題が出てくる場合には手術が選択されます。

また、大きくなった腫瘍がその周辺を圧迫したり、 突然大きくなる場合には悪性腫瘍が隠れていた可能性もあり、手術が選択されます。

 

プランマー病が見られる場合

甲状腺腫瘍から異常に甲状腺ホルモンを分泌させ、 甲状腺の機能が亢進する病気をプランマー病と言います。

この病気には薬が効かないため、 手術や放射線治療が行われます。

近年はエタノール注入療法(PEIT)と呼ばれる、 手術せずに治療できる方法もあります。

 

3-2.悪性腫瘍の種類と治療法

悪性腫瘍は、乳頭がん、濾胞(ろほう)がん、 髄様(ずいよう)がん、未分化がん、悪性リンパ腫の5つに分類されます。

 

3-2-1.乳頭がん

悪性腫瘍の90%がこの乳頭がんで、 穿刺吸引細胞診検査でほぼ100%の診断が可能です。

30代から60代の女性に多く見られます。

治療方法は手術で甲状腺の一部を切除し、その予後は良好とされています。

ただし、一部は進行して骨やリンパ節へ転移する事があり、 リンパ節の切除とともに甲状腺の全摘出術が選択される場合もあります。

他の臓器へ転移が見られた場合には、 放射線治療やホルモン剤の内服が必要です。

 

3-2-2.濾胞(ろほう)がん

これは甲状腺腫瘍の5〜10%を占め、乳頭がんよりも高齢者に多い傾向があります。

こちらも手術後の予後は良いとされます。

ただし、血液の流れに乗って転移を起こす血行性のものがあり、 予後が悪くなる場合があります。

 

3-2-3.髄様(ずいよう)がん

これは甲状腺腫瘍の1〜2%を占めます。

症状の進行が比較的早く、 他の臓器へ転移しやすいとされます。

この種類の腫瘍は遺伝が関係している事があり、その場合には甲状腺の全摘出術が行われます。

 

3-2-4.未分化がん

この種類のほとんどは高齢者に見られ、 甲状腺腫瘍の1〜2%を占めます。

進行が早く転移もしやすいため、 もっとも予後の悪い種類です。

治療方法は手術で腫瘍を摘出し、 抗がん剤や放射線療法が行われます。

 

3-2-5.悪性リンパ腫

もともと慢性甲状腺炎(橋本病)が見られた場合に発生しやすく、高齢者に多くみられます。

しこりが急速に大きくなる事があり、 声が枯れたり呼吸困難となる場合もあります。

腫瘍が小さな段階で見つかった場合には手術で摘出しますが、腫瘍の広がりに合わせて抗がん剤や放射線治療も行われます。

 

 

 

 

4.甲状腺腫瘍の検査は何科に行けばいい?その費用は?

甲状腺腫瘍の詳しい検査を受けるには、 内分泌内科を受診しましょう。

さらに、甲状腺の専門医がいる病院もあるので、 その探し方をお伝えします。

インターネットを使って、 「甲状腺 認定専門医施設」と検索してください。

日本甲状腺学会のホームページから、 専門医のいる最寄りの病院をすぐに調べることができます。

また、検査を受けるときに気になるのがその費用ですが、超音波検査、穿刺吸引細胞診検査、血液検査をすると、 3割負担の場合には6,000円前後になります。

また、これとは別に診察料や薬代が必要となります。

 

 

 

 

5.まとめ

突然、診断された甲状腺腫瘍が、 悪性(がん)か良性かを確定診断するための検査方法は、 触診超音波検査穿刺(せんし)吸引細胞診検査の3つです。

どれもその場でできる検査なので、 入院をする必要もなく、 ほとんど痛みや出血も伴いません。

これらの詳しい検査を受けるためには、 内分泌内科や甲状腺専門医がいる病院を受診しましょう。

もし悪性だったらどうしようと怖くなり、 検査を受けることにも戸惑ってしまうかもしれませんが、 悪性の腫瘍、つまりがんである確率は5%です。

ほとんどが良性の腫瘍で、 手術や抗がん剤の治療も必要ありません。

もしも悪性の腫瘍だった場合にも、 90%は治るがんだと言われています。

まずは検査を受けて、 その不安を解消しましょう。

今回の記事がすこしでもお役に立てれば幸いです。

 

 

 

 

 


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