息苦しいと感じたら要注意!甲状腺腫瘍の症状と治療法

DarkoStojanovic / Pixabay

甲状腺腫瘍には悪性のがんと良性のものがあります。

良性の場合には、自覚症状もなく、 定期的な経過観察だけで、 治療の必要がない事が大半です。

悪性のがんであっても、 早期発見と早期治療で治るものがほとんどです。

しかし、息苦しい症状が出てきた場合には注意が必要です。

良性腫瘍の中にも、 しこりが大きくなり進行するものや、 悪性の腫瘍が隠れている場合があります。

悪性のがんも、 急激に進行したり悪化する場合があります。

息苦しい症状はこれらのサインかもしれません。

そこで今回は、 甲状腺腫瘍で息苦しくなる原因と、その治療方法について詳しくお伝えします。

 

 

 

1.甲状腺腫瘍で息苦しい原因とは

甲状腺腫瘍とは、 のどぼとけにある甲状腺と言われる臓器に、 しこりができる病気のことを言います。

そのほとんどは自覚症状がなく、 健康診断や人間ドックで指摘されて見つかります。

この腫瘍の95%が良性で、 自覚症状もなければ治療も必要ない場合がほとんどです。

悪性のがんであっても、 初期段階では自覚症状を感じる事は無く、正しい治療で治るがんです。

しかし、息苦しい症状がみられる場合には、 体からの危険信号かもしれません。

なぜなら、それは腫瘍が進行して、 しこりが大きくなっている可能性があるからです。

甲状腺のすぐ後ろには、 気管と言われる空気の通り道があります。

しこりが大きくなると気管を圧迫して、 空気の出入りを邪魔してしまうので、 息苦しさを感じるようになります。

つまり、息苦しいと感じた時は、 しこりが大きくなっているサインと言えます。

このサインが見られた場合には、 良性の腫瘍でも悪性のがんでも注意が必要です。

実は、良性だと言われていた腫瘍の中には、 悪性のがんが隠れている場合があります。

そして、しこりが大きくなるということは、 その可能性が高くなると考えられます。

悪性の場合にも、順調に治療が進んでいたにも関わらず、 突然しこりが大きくなってがんが進行する事があります。

このように、ほとんど自覚症状のない甲状腺腫瘍で、息苦しさを感じた場合には、 その原因を判断して正しい対処や治療が必要となります。

息苦しさを感じると、とても怖くなりますが、 慌ててしまう前に、甲状腺腫瘍について 正しく理解しておく事が大切です。

 

 

 

2.甲状腺腫瘍の95%は良性腫瘍

腫瘍と聞くとがんだと思ってしまいますが、 そうではありません。

腫瘍というのは簡単に言えばしこりのことで、悪さをしない良性のものと、 悪さをする悪性のがんに分かれます。

甲状腺腫瘍の場合には、 95%が良性の腫瘍で、 残りのわずか5%が悪性のがんです。

 

2-1.良性腫瘍の種類

良性腫瘍には、 しこりの数や性質によって3つの種類があります。

 

・腺腫(せんしゅ)

甲状腺にしこりが1つできるものを腺腫、 もしくは単純に腫瘍と呼びます。

しこりの大きさは、 のどを触ってもほとんどわからないものから、 首の動きを邪魔するほど大きくなるものまであります。

 

・腺腫様甲状腺腫(せんしゅようこうじょうせんしゅ)

これは甲状腺に2つ以上のしこりが見られるものです。

甲状腺は蝶の羽のように左右に広がっていますが、 この左右の羽にいくつものしこりができる事があります。

このため、腺腫と比べると、 しこりが大きくなり気管を圧迫する事があります。

 

・嚢胞(のうほう)

しこりが水ぶくれのように膨らむものを嚢胞と言います。

大部分が血液や水が溜まったものです。

この嚢胞は、他の良性腫瘍と比べて、 自然にしこりが小さくなったり消失する事があります。

ある病院の調査では、 10年後には50%の人の嚢胞が消失していたという結果もあります。

 

2-2.良性腫瘍の治療方法

良性腫瘍だと確定診断ができ、 しこりが小さい場合には手術の必要もなく、 基本的には経過観察となります。

ただし、悪性のがんが隠れていたり、 詳しい検査でも良性だと言い切れない場合があるため、 半年に1回は定期的な受診や検査が必要となります。

また、良性腫瘍でも手術が行われる場合や、 ホルモン剤を内服する場合もあります。

治療方法の詳細は次の通りです。

 

・手術療法

次のような場合には、 良性腫瘍でも甲状腺を切除する手術が行われる事があります。

1つ目は、しこりが大きい場合です。

しこりの大きさが3〜4センチ以上になると、 外見上もしこりが目立つようになります。

こうなると、外見や美容上の問題があるため、 手術をすることがあります。

2つ目は、しこりが大きくなっている場合です。

しこりの増大は、 悪性腫瘍の可能性が出てきます。

良性腫瘍が悪性に変わることはありませんが、 悪性腫瘍が合併して隠れている場合があります。

その際は手術が検討されます。

3つ目に、確定診断のための詳細な検査をしても、 良性か悪性か鑑別することが難しい場合があります。

そのような時には、 腫瘍の大きさが直径4センチを超えると、 手術がすすめられます。

また、しこりの影響で甲状腺ホルモンが、 過剰に作られてしまう場合にも手術が行われます。

 

・吸引

しこりの中に血液や水がたまる嚢胞の場合には、 採血する時のように細い針を刺し、 中身を吸い出してしこりを小さくする方法があります。

吸引後、再びしこりが大きくなる場合には、エタノール注入療法(PEIT)が行われます。

それでも小さくならない場合には手術も検討されます。

 

・ホルモン療法

甲状腺ホルモンを服用することで、 しこりが小さくなる場合があります。

10〜20%の人は、 しこりの大きさが半分になり、 5%はわからないほど小さくなる事があります。

 

 

 

3.甲状腺腫瘍の5%は悪性の甲状腺がん

甲状腺腫瘍が悪性の場合には、 甲状腺がんと言われ全体の5%にあたります。

男女比は1対6と女性に多く、 特に30〜40代に多くみられます。

がんと聞くと怖くなってしまいますが、 甲状腺がんは、他のがんと比べて進行が非常に遅いため治療可能ながんです。

ただし、中にはがんが進行してしこりが大きくなり、 気管を圧迫するため息苦しさを感じたり、骨や他の臓器に転移するものがあります。

特に、高齢者の甲状腺がんの場合に、 この傾向が強くみられます。

 

3-1.甲状腺がんの種類

甲状腺がんには5つのタイプがあり、 それぞれ悪性度や治療方法が異なります。

 

・乳頭がん

甲状腺がんのうち90%が乳頭がんです。

乳頭がんの特徴は、 早期には良性腫瘍と同じようなしこりがあるだけです。

進行も非常にゆっくりなため、 しこりの大きさも変化しない事があり、 ほとんどが手術で治る予後の良いがんです。

しかし、中には後述するような、 悪性度の高いがんのように進行する場合があります。

進行するとしこりが大きくなり、気管を圧迫して息苦しさを感じるようになります。

その他にも、食道を圧迫して飲み込みづらくなったり、 かすれたような声になる事もあります。

また、甲状腺の近くにある、 体を守る免疫器官のリンパ節に転移する事があります。

 

・濾胞(ろほう)がん

乳頭がんの次に多いのが濾胞がんで、 甲状腺がんの10%を占めます。

このがんは、詳しい検査をしても、良性腫瘍との区別が難しいという特徴があります。

また、骨や肺などに転移する傾向があります。

症状としては、しこりがあるだけの場合が多いですが、 転移の考えられる場合には、手術で甲状腺を全摘出する事があります。

 

・髄様(ずいよう)がん

このがんの特徴は、 3分の1は遺伝が原因と考えられている特殊ながんです。

遺伝の可能性がある場合には、 甲状腺の全摘出術が行われます。

遺伝ではない場合には、 甲状腺の一部切除術が行われます。

 

・未分化がん

甲状腺がんのうち、 もっとも悪性度が高いがんです。

進行が早いため急速にしこりが大きくなり、 気管を圧迫してしまいます。

治療方法としては、 抗がん剤治療や放射線治療が行われます。

死に至る可能性のあるがんですが、 その発生率は1%とまれです。

 

・悪性リンパ腫

橋本病(慢性甲状腺炎)と言われる、 甲状腺の病気が元となり生じるがんです。

抗がん剤と放射線治療が行われ、治る確率の高いがんです。

 

3-2.甲状腺がんの治療方法

甲状腺がん治療の第1選択は手術ですが、 その他にも抗がん剤治療や放射線治療などがあります。

 

・手術

甲状腺がんの手術には、甲状腺切除頸部リンパ節郭清(かくせい)の2つがあります。

甲状腺切除とは、 しこりのある甲状腺を切り取る手術です。

甲状腺は蝶が羽を広げたような形をしており、 その片方を切り取る方法を葉切除術と言います。

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(出典 伊藤公一(2008 )よくわかる甲状腺の病気.主婦と生活社)

しこりが左右のどちらか一方にみられる場合に、 この方法が行われます。

甲状腺は片方だけ残っていれば、 その機能に問題は起きない臓器です。

さらに、甲状腺の端だけを残し、 それ以外の部分を切り取る方法を亜全摘術と言います。

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(出典 伊藤公一(2008 )よくわかる甲状腺の病気.主婦と生活社)

しこりが甲状腺の全体に複数みられる場合に、 この方法が選択されます。

可能な限り甲状腺の機能を保つように、 切除する部位を決定します。

そして、甲状腺を全て切り取る方法を、 全摘術と言います。

亜全摘術ではしこりが取りきれない場合や、 取り残す可能性がある場合に選択されます。

全摘術を行うと、 甲状腺の働きを失ってしまうため、 甲状腺ホルモン薬の服用が必要になります。

頸部リンパ節郭清とは、 甲状腺の周囲にあるリンパ節を取り除く方法です。

甲状腺がんがリンパ節へ転移している場合に、 甲状腺の切除術と合わせて行われます。

 

・アイソトープ治療

この治療方法は、乳頭がんや濾胞がんの全摘手術が行われた後に、 実施されることがある治療です。

手術では取りきれなかったしこりの治療や再発の予防、 手術後に再発した腫瘍の治療として行われます。

これは、放射性ヨードと言われる、 放射線を出す物質を飲むことで、 甲状腺がんを内側から破壊する治療法です。

 

・抗がん剤治療

未分化がんや悪性リンパ腫に対して、抗がん剤治療が行われます。

抗がん剤にはいくつかの種類があり、 それぞれ単体で使用したり、 併用して治療が行われます。

 

・放射線療法

こちらも未分化がんや悪性リンパ腫に対して実施されます。

しこりに放射線を当てることで、 がん細胞が増えることを抑えたり、 小さくする効果があります。

 

・ホルモン療法

甲状腺には甲状腺ホルモンと言われる、 新陳代謝をあげる物質を分泌する働きがあります。

しかし、手術で甲状腺を切除すると、 この甲状腺ホルモンが分泌できなくなります。

そのためホルモン剤を服用して補充する必要があります。

 

 

 

4.まとめ

甲状腺腫瘍で息苦しさを感じた場合、 それはしこりが大きくなっているサインかもしれません。

しこりが大きくなると、 空気の通り道である気道が圧迫されてしまい、 息苦しさを感じるようになります。

しこりが大きくなる事は、良性腫瘍でも悪性のがんでも起こります。

良性腫瘍のしこりが大きくなるのは、 悪性のがんが隠れているサインかもしれません。

悪性のがんのしこりが大きくなるのは、 がんが進行している可能性もあります。

そのため、息苦しさや、喉や首の圧迫感、閉塞感を感じた時は、 まずは主治医に相談しましょう。

診察や検査でしこりの状態を調べれば、 息苦しい症状も病気の進行も治療する事ができます。

今回の記事を参考にして頂き、 あなたの不安が解消できれば幸いです。

 

 

 

 


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